医療現場ではなかなかDXが進まないと言われています。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、医療機関や保健所ではDX化(デジタル化)の遅れ
が顕著に露呈しました。
2019年(令和元年)末から続いているコロナ禍においては医療機関と保健所が感染者の情報をFAXでやりとりするケースが多く、感染状況の把握の遅れや感染数の正確性にも影響が出ました。
なぜ、医療現場ではDX進まないのでしょうか?
医療現場のデジタイゼーションの現状
医療現場において、DXの第一歩であるデジタイゼーション(Digitization)は進んでいるでしょうか。
厚労省が出している医療施設調査によると、病院・クリニック(医院)共に電子カルテ導入率が年々上がっています。
病院全体の電子カルテ導入率は令和2年時点で57.2%。6割程度の病院が電子カルテを導入しています。
しかし、クリニック(医院)では令和2年時点で49.9%。未だに全体の半数程度しか電子カルテを導入していません。
1999年に誕生し、厚労省が推進してきた電子カルテでも半数程度の医療機関にしか浸透していません。
これはなぜでしょうか?
理由としては以下の内容が考えられます。
電子カルテの導入コストが高いことや職員のITスキルが不足して対応できない場合に導入を見送るケースが多い様ですが、従来の紙カルテでの運用から変更することに強い抵抗を感じる医師がいる場合も導入を見送る要因となっています。
医療現場のデジタル化~DXが進まない理由
アナログからデジタル化への変革が進まないのは医療機関だけの問題ではありません。
医療現場ではどの患者に対しても平等に対応する(情報を伝える)必要があります。
その為、情報を伝える手段は若年者、デジタル弱者が多い高齢者に関わらず、対面での説明や電話・書面での連絡など、アナログツールを利用することが多い様です。
また、患者の医療情報を記載した紹介状や診療情報の受け渡しは、未だに印字した用紙、またはデータを書き込んだCD-Rなどを患者本人、または家族に手渡しを行い、医療機関の間を移動することが多いです。
これは情報漏洩のリスクを避けるためとのことですが、もっと効率の良い方法はないのかと考えさせられます。
ある程度の規模の医療機関には情報システム部が存在するのですが、オンプレミスで構築したり、ベンダーから調達した内部システムの保守やヘルプデスク作業で手一杯であることも多い様です。
医師や看護師などにオンラインミーティングの設定方法ですらレクチャー、サポートをする時間もない。
さらに病院の職員も多忙の為、ITスキルを向上する時間がない。
まさに負の循環が起こっています。
医療DXとは?
DXを病院において進める際には、一般企業におけるDXの概念を当てはめることができない部分があります。
そのため、医療DXという概念が生まれました。
医療DXとは、医療現場でデジタル技術を使って業務や医療サービスを変革する取り組みです。
少子高齢化時代では、少ない人数で多くの患者に対応する為のしくみ(システム)が必要となります。
医療DXには以下の内容があてはまります。
・医療従事者の作業効率化
医師が行う診療の的確化などが図れることはもちろん、医療事務などの作業の効率化を行います。
・予約システム導入による診察までの待ち時間短縮
待ち時間を短縮することで待合室ので患者が溢れる状況を減らします。
・オンライン診療の実施
特定の専門医がいない地域の患者が遠隔地の専門医診療を受けるとことでができる。
また、感染症等で対面診療が難しい場合でも受診ができる。
・医療ビッグデータの活用
同一の患者が異なる医療機関の診療科を受診している場合、各医療機関においてそれぞれの症状・疾患を分析して、治療しています。
国が認定している「認定事業者」が医療機関から患者の医療情報をを集約、分析した各診療情報を統合化したうえで「医療ビッグデータ」として活用すれば、連携診療を行うことがで可能となります。
どうしたらDX化を進められるか
1.アナログ入力・送信を削減する
病院内で飛び交う手書きやFAX送信を削減する(やめる)必要があります。
例えば、私達が医療機関で初診にかかると手書きで初診問診票を記入していますがタブレット等での入力に変更するなどに改める必要があります。
2.医療業務以外の業務効率化を進める
医療行為とは直接関係しない事務処理のデジタル化を進めるのと同時に「RPAツール」などで自動化ができる単純作業を積極的に取り入れる。
業務負担を減らすことで本業に専念し、変革する前の土台を整備することが重要です。
3.医療情報技師などのIT専門スタッフを配置する
サポート、教育する専門スタッフとして医療情報技師などの専門職を配置することでITリテラシーの低い医師や看護師などを教育できれば、デジタル化のスピードをアップできるかもしれません。
まとめ
確かに医療現場ではどの患者にも公平に接する必要がありますが、現状のしくみで超高齢化社会に対応できる可能性は低いです。
そのために医療DXが浸透する事で患者も医療従事者の双方に恩恵がある様なシステムを構築することが重要であると考えます。
行政、医療機関、患者、システムベンダーが同じ方向で進み、医療現場が変革することが期待されます。
また、患者となる私達自身も、病院の業務負担にも目を向け、DXの取り組みに協力することが求められています。
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